気象衛星NOAA用 受信アンテナの製作(QFHアンテナ 3)

 

●バランの作成

同軸ケーブル(5D-2V)をブーム(外寸32mm)に4ターン、上から右方向に巻きつけます。

穴あけの位置は、ブーム上部から5〜10cmくらいのところに同軸ケーブル
外径φの穴を斜めに開けます。(同軸ケーブルを斜めに引き出す)

同軸ケーブルをパイプ内に引き込まない場合は、もう一つの穴あけは不必要です。

 

同軸ケーブルの固定は、束線バンドで縛って全体をホットボンドで固めます。
バランの有無はVSWR値だけの問題ではなく受信に影響しますので、しっかり作ります。

 

 

 

 

●給電部の作成

同軸ケーブルを塩ビパイプ上部、余長を出さずに被覆を慎重に剥ぎます。

 

 

 

 

エレメント(アルミ線)をブーム(塩ビパイプ)に通します。
ロングエレメントとショートエレメントがありますので、ブームに通す箇所を間違えないようにします。
この時点では、エレメントをひねる必要はありません(写真は判りやすくするためです)。

 

 

 

 

エレメント先端(アルミ線)に圧着端子を付けて、圧着工具でしっかりカシメます。
この方法ならエレメント先端を長い時間、半田ごてで加熱する必要なく、
同軸ケーブルと直接半田付けができます。
通常アルミの半田付けには、専用半田を使って部位を相当高温にする必要があるため、
パイプを溶かしてしまう危険があります。

 

 

先ず、エレメントを半回転ねじってから、ロングエレメントとショートエレメントの圧着端子同士を半田付けします。
そのあと、同軸ケーブルの芯線・編線を両方の圧着端子上に半田付けします。(この作業はパイプの外で行います)
パイプ径が細くなればアセンブリがより難しくなります。こんな時はパイプの外に給電部のBOXを設ける手もあります。
(写真ピンボケですみません)

 

 

※エレメントをひねる方向は、上部(給電部)から左回りで下部に向かいます。(自分から見てブームの手前を通す)
 逆にひねると偏波変移(フェージング)による影響を受けやすくなります。
※半田付け完了後は、等価的にもテスター等で導通チェックはできませんので、短絡や接触不良には注意して下さい。
※VSWRを調整する為にエレメントの長さを変えてはいけません。無理に調整すると衛星の仰角によって信号が極端に弱くなります。

 

半田付け完了後は、ホットボンドやエポキシ系樹脂を使って給電部内部を固定します。
この上に塩ビキャップをかぶせればエレメントのぐらつきもなくなり、防水効果も高くなります。

 

 

 

エレメントの折り曲げ箇所は、ラジオペンチ等を使ってゆっくりと直角に曲げます。
無理に曲げると外側にクラックが入る事があるので、注意してください。

 

 

 

ブームの中間部(塩ビパイプ)に硬質ビニルパイプを通しボンドで固定します。

 

 

 

 

エレメント中間の支持用に硬質ビニルパイプを使用。束線バンドで位置を固定しボンドで固めます。

 

 

 

 

ブーム(塩ビパイプ)にエレメントの中心が来る位置で固定します。
ストッパー代わりに束線バンドでエレメントを締め付けると、滑りにくくなります。

 

 

 

アンテナ上部

 

 

 

 

アンテナ中間部

 

 

 

 

アンテナ下部

 

 

 

 

整形後のQFHアンテナ
アルミ線は、コツンと物に当たると簡単に変形してしまうので注意。
それでもこの太さなら台風程度の風で変形することはありません。

 

 

 

 

縦横比が違う2本のQFHアンテナ。
縦が長いアンテナは仰角が低い位置で利得が若干増えます。逆に高い仰角では減少します。
衛星が最も遠くなる地点(地平線近く)で、利得が大きいアンテナは理想ですが、
実際の衛星は、東西約20度〜70度付近を通過する事が多く、この軌道の衛星写真は
日本近海・隣国までを丁度良くカバーします。逆に、地平線ぎりぎりを通過する場合、
日本から相当外れた位置の衛星写真を受けることになります。
この事から通過頻度の高い仰角を狙って、例えば同じ2本のQFHアンテナを東西方向に
45度傾けてダイバシティーにする方法もあります。(縦横比0.44標準値にして・)

QFHアンテナの利得パターンは、垂直に立てて理論上90度付近が最大です。
衛星が頭上付近を通過する時は、互いの距離も近くなる(上空820Km前後)ので電波も強くなります。
ですから頭上よりもっと下の角度で利得が必要、という事です。

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